生前対策

司法書士
伊藤義一

 相続人間で争いが生じないように、生前にあらかじめ相続の準備をしておくことをおすすめします。
生前対策は、遺言書を作成することが、オーソドックスな方法ですが、認知症等になって、判断能力が低下したときには、遺言書を作成することが困難になります。
 そのために、後見制度や家族信託制度が利用されます。
しかし、それぞれ一長一短がありますので、まずは専門家である司法書士にご相談してください。

各制度を利用できるタイミング

※下記表のセルの色がの期間が利用できるタイミングです。

生前対策遺言書の作成現在






後見手続
家族信託
贈与手続
相続発生後遺産分割協議
遺産整理業務

遺言書の作成

 遺言書は原則として自筆証書遺言と公正証書遺言の二つあります。
このうち自筆証書遺言は、令和2年7月から、法務局における遺言書保管制度が始まりました。

自筆証書遺言公正証書遺言
保管制度利用なしあり
作成方法・遺言者本人が遺言書の全文に日付及び氏名を自署さえできれば一人で作成できます(財産目録は自署する必要はありません)。
・証人は不要
・必ずしも自署する必要がなく、公証人関与の下、2名以上の証人が立ち会って行う。
・公証役場に出向く必要がありますが、出向けない場合には、公証人が出張して作成できます。
保管方法自分で保管法務局で保管公証役場で保管
費用不要保管手数料は3,900円
(申請時のみ)
財産の価格に応じて手数料がかかる。
家裁の検認必要不要不要

※出典:法務省民事局パンフレット

後見

 認知症となった場合には、遺産分割協議等の契約ができなくなり、相続手続などが困難となります。
そのための制度として法定後見と任意後見があります。
いずれも家庭裁判所が関与して、後見人が本人に代わって契約をします。

法定(成年)後見任意後見
予め必要な手続なし・任意後見契約書の締結
・任意後見契約の登記
本人の判断能力不要
認知症となった後
必要
認知症になる前
効力が発生する時点・親族等により家庭裁判所へ申立した後、
 後見開始の審判が確定したとき
・本人の判断能力が低下した場合、
 任意後見監督人が選任されたとき

家族信託

 自分の老後や介護時に備え、保有する不動産や預貯金などを信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる財産管理の方法です。

家族信託法定(成年)後見
内容 委託者(親)と受託者(子)で信託契約を締結し、子が財産管理できます。
 親が認知症になる前に契約し、家族へ特定の財産の管理、処分権限を与えます。
 家庭裁判所が選任した成年後見人が財産管理をします。
 親が認知症になった後に、申立を行い、後見人が財産をすべて管理します。
短所変更、解約は可能ですが、初期費用が高くなります。・家庭裁判所が関与しますので、お客様の意向を反映しづらくなります。また、中途解約ができません。

生前贈与

 自分が所有している財産を配偶者や子へ贈与することができます。
この贈与は有効な生前対策になりますが、贈与税や相続税がかかりますので、注意が必要です。

  • 贈与をする人と贈与を受ける人で契約書を作成する必要があります(両者は成年者でなければなりません)。
  • 贈与税が課される場合がありますので、税理士に相談する必要があります。
    ※その場合には、提携している税理士を紹介させていただくことができます。

お気軽にお問い合わせください。0564-55-2885営業時間 平日9:00-18:00 [ご予約により土日・夜間の相談可 ]

メールでのお問い合わせはこちら お気軽にお問い合わせください。